Curator's Note:
 この度、金村修、小松浩子、篠田優による連続個展「error CS0246」を開催します。
 いまだ終息の目処が立たない新型コロナウイルスは、私たちの日常生活に大きな変化をもたらしました。感染予防対策として、物理的な接触を避けるために築かれる〈壁〉の存在は、ボーダーレスを標榜して速度を求めてきたグローバリズムをそれ以前へと巻き戻そうとするものです。街の至るところで、密閉空間を避けること、集団にならないことなどの制限が求められ、感染予防対策の強化が続いています。一方、各所で導入されたテレワークは、自宅の部屋をオフィスにすることで、これまでのプライベート/パブリックという区分を曖昧にもしました。経済活動を維持するために推奨される野外での行動は、どこか矛盾をはらんだ空間を生んでもいます。
 パンデミックの終息後も恐らくなくならないであろう、予防対策としての制限によって、社会には曖昧な状況が生まれ、人々の行動には矛盾が生まれ続けることでしょう。そうだとすれば、今後はそれらを内包した、ポスト・パンデミックの芸術を思索する必要があります。美術の展覧会においては、二律背反として扱われてきた「展示」と「保存・保護」という矛盾した関係性にも、「制限」と「曖昧さ」という観点をもって新たな光を当てることができるかもしれません。またパンデミック以後の制作は、必然的に異なるコードが組み込まれることによって、作家のスタイルそのものを変容させることにもなるでしょう。
 本企画は、アフターコロナにおける美術の展覧会の在り方、創作の可能性とは何かを、これまで取り扱われていなかった部分の捉え直しから検討するという試みです。
【出展作家プロフィール】
小松浩子 / KOMATSU Hiroko
写真家。1969年神奈川県生まれ。
第43回木村伊兵衛写真賞を受賞。2010〜2011年、自主ギャラリー・ブロイラースペースを主催し毎月個展を開催。近年の展覧会として、「DECODE/出来事と記録−ポスト工業化社会の美術」(グループ展、2019年、埼玉県立近代美術館 / 埼玉)、「人格的自律処理」(個展、2017年、gallery αM / 東京、キュレーション:光田由里)、「The Wall, from 生体衛生保全, 2015」(個展、2017年、MAST / イタリア)などがある。
〈パブリック・コレクション〉
MAST(イタリア)、Tate Modern(イギリス)
〈website〉
http://komatsu-hiroko.com/
篠田優 / SHINODA Yu
写真家。1986年長野県出身。
明治大学 理工学研究科 建築・都市学専攻 総合芸術系 博士前期課程に在籍。近年の展覧会として「抵抗の光学」(個展、2020年、リコーイメージングスクエア東京 / 東京)、「imshow」(グループ展、2020年、Alt_Medium / 東京)、「text」(個展、2019年、Alt_Medium / 東京)、「See / Sea 」(個展、2017年、ニコンサロン/ 東京・大阪)、「信濃美術館クロージング ネオヴィジョン新たな広がり」(グループ展、2017年、長野県信濃美術館 / 長野)などがある。
〈受賞歴〉
2013年「塩竈フォトフェスティバル写真賞」大賞
2012年「EINSTEIN PHOTO COMPETITION X2」岩瀬貞哉賞
〈website〉
https://shinodayu.com/

金村修 / KANEMURA Osamu
写真家。1964年東京都生まれ。
1993年東京綜合写真専門学校研究科卒業。1992年東京綜合写真専門学校在校中にオランダ・ロッテルダム写真ビエンナーレに招聘されたことを皮切りに、1996年ニューヨーク近代美術館による「世界の注目される6人の写真家」の1人に選出される。1997年日本写真家協会新人賞受賞の後は、第13回東川町国際写真フェスティバル新人作家賞、第19回土門拳賞、第39回伊奈信男賞を受賞するなど国内外を問わず活動。主な著作に『Spider’s Strategy』(Osiris、2001年)、『I can tell』(芳賀書店、2001年)、『Concrete Octopus』(Osiris、2017年)、『漸進快楽写真家』(同友館、2009年)、『挑発する写真史』(平凡社、2017年、タカザワケンジとの共著)がある。〈パブリック・コレクション〉
横浜美術館、ニューヨーク近代美術館、東京都写真美術館、東川町文化ギャラリー、東京国立近代美術館、土門拳記念館、ベネッセコーポレーション、ヒューストン美術館、福岡市美術館、サンフランシスコ近代美術館、シカゴ美術館、アマナコレクション、ニューヨーク公共図書館
〈website〉
http://kanemura-osamu.com/

【個展名】
Vol.1 − 小松浩子個展「自己中毒啓発」
2021年1月7日(木)〜1月19日(火)*水曜日休廊
Vol.2 − 篠田優個展「ひとりでいるときのあなたを見てみたい」
2021年1月28(木)〜2月9日(火)*水曜日休廊
Vol.3 − 金村修個展「Lead-palsy Terminal」
2021年2月11日(木)〜2月23日(火)*水曜日休廊
【出展作家】
小松浩子、篠田優、金村修
【キュレーション】
岡田翔
【インストール】
Vol.1:小松浩子、岡田翔
Vol.2 - 3:岡田翔
【デザイン】
相島大地
【展示協力】
稲垣貴俊
【入場に関して】
Vol.1 − 小松浩子個展「自己中毒啓発」〈作品のご鑑賞について〉
新型コロナウイルス感染症予防対策として基本的には入場できません。
もし入場を希望される場合は事前予約制となり、入場料(作品修繕費)として¥3,000を申し受けます。
上記ご理解頂いた上で入場をご希望の場合必要事項を記入し、下記までご連絡ください。
ご予約先:inquiry@altmedium.jp
〈記入事項〉
件名:小松浩子個展
内容:①氏名(複数人の場合代表者のみで可) ②人数 ③希望日時
※本展覧会で頂いた入場料は作品修繕に使用させていただきます。
Vol.2 − 篠田優個展「ひとりでいるときのあなたを見てみたい」
Vol.3 − 金村修個展「Lead-palsy Terminal」
各入場無料
〈ご来場の注意〉
新型コロナウィルス対策として入場制限などを設ける場合がございます。
その際のお知らせは当ページの他、SNSでも随時告知いたします。
【会場】
Alt_Medium
OPEN : 12:00〜20:00
(開廊日は各展覧会に準ずる)
〒161-0033
東京都新宿区下落合2-6-3 堀内会館1F
JR高田馬場駅徒歩7分
(下落合二丁目歩道橋そば)
TEL:03-5996-8350
MAIL:inquiry@altmedium.jp
   
   
Back to Top