Curator Note:
 本展覧会は、「メディア」という言葉をもう一度考え直すことを目的に企画を行いました。メディア(Media)とはもともとラテン語のメディウム(Medium)という「媒介」を意味する言葉の複数形ですが、現在ではとても幅広い意味で用いられています。そのため今回の展覧会名には「Media」の複数形という造語を用いています。また、例えば写真という表現方法においても何が写っているのかという内容とともに、イメージの形や大きさなど展示空間における物質としてのメディア、作品と作品の関係性というものにもメディアとしての意味があると考えています。
 現在の世の中には、メディアが溢れかえっています。とりわけデジタルメディアの発展は、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を代名詞として世界を繋げることを可能としました。また、その中でフェイス・トゥ・フェイスや手書き文字などのデジタルメディアを介さない手段の価値も再考されています。そのため、メディアが溢れかえっているというよりも、メディアとして私たちが認識するようになったものが多くなったという言い方が適切かもしれません。
 このような中、「メディア」を再考することの意味とは何か。そのひとつに「現実感」や「リアリティ」と言われる問題系があると思います。それはこのふたつの概念は分かちがたく密接な関係にあるからです。例えば、今日のコミュニケーションをとっても直接的な対話こそが「現実」であり、チャット、メールなどのコミュニケーションは「虚」であるとは多くの人が感じなくなっています。会場では、写真、インスタレーション、イラストレーション、ソーシャル・エンゲージメント・アートなどの多様なジャンルと共に写真用紙・ディスプレイ・昆虫など多くのメディアを扱っています。このようなメディアの違いは、リアリティとして私たちに作品の意味や印象の変化を生じさせます。
 このような多ジャンル、多メディアによって構成される本展覧会「Medias」は、作品・展示空間から新たな表現と共に今日の「リアリティ」を探る試みであります。
[出展作家]
 岩崎広大
 遠藤祐輔 
 大門光
 山本浩貴


[キュレーター]
 岡田 翔

[デザイン]
 上出 実芙・岡田 翔 

[協力]
 (株)O.D.A
In a different way of documentation
Photo by yusuke ENDO
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